大学入学共通テストどう変わった? #6 地理歴史
世界史B
〇問題傾向
設問数は2問減少し34問となりましたが、地図・絵画・写真・史料・グラフ・表などの資料の数が6から17に増えました。資料を読解しつつ、世界史的な知識を連動させて解く「思考力」を問う問題が多く出題されました。センター試験では定番に出題されていた4文正誤問題が大幅に減少し、代わりに会話文や組合せの問題が増加しました。
ポイントとなる問題は第5問Aです。他の大問と同様、いろいろと工夫がなされた出題となっています。それぞれの地域の説明文にキーワードが多くあるので、シチリア島、ロンドン、アテネと判定するのはさほど難しくなかったでしょう。しかし、解答番号 31 でローマ帝国領になった順番を問われると焦るかもしれません。ローマ帝国史の一般的な授業であれば、領土の拡大の地図と年表を見ながら、それぞれの時代の帝国(ローマ)の状況を理解していきましょう。年表も地図もない中で、史実を想起して並べ替えるのは新傾向の問題といえます。
〇対策
会話文や組合せの問題が解けるようになるには、ただ用語を暗記するだけではなく、それぞれの時代背景や流れをつかみ“理解”しながら学習を進めることが重要です。写真、年表、グラフ、史料などを扱う問題に対応できるよう、時系列を年表で確認したり、図やグラフを読み解く練習をしたりと、資料集を上手に活用し役立てましょう。
日本史B
〇問題傾向
設問数は36問から32問へ減少しましたが、大問と時代の構成は、従来のセンター試験と変わらず、第1問がテーマ史、第2問が原始・古代、第3問が中世、第4問が近世、第5・6問が近現代でした。
史料、図版、統計表を利用した設問が多く出題され、教科書などで扱われていない初見の資料であっても、そこから得られる情報と知識を関連付ける問題が多く出題されました。
ポイントとなる問題は第1問です。「貨幣の歴史」をテーマに授業で発表する生徒が、博物館に事前学習に行ったという設定です。2024 年の新紙幣と新硬貨発行がキャッシュレス化の進行のなか、果たして意味があるのか、という問題関心から、古代貨幣の調査に向かうという学びの設定でした。日常生活から課題を発見し解決方法を考える生徒の主体的学習が提示されています。
〇対策
日本史は暗記的要素が強いですが、暗記だけに頼るのではなく、考えながら覚える工夫をしていきましょう。例えば、表やグラフ、絵画などからどんなことが読み取れるのかを普段から意識して教科書を読み、自分なりに考えたこと、読み取れたことをまとめてみましょう。今回のように初見の資料から得られる情報と授業で学んだ知識を関連付けて判断することを求める問題、仮説に対する根拠として適当なものを選択させる問題、歴史の展開を考察する問題、などが多く出題されると思われます。思考力・判断力を用いて資料を読み解く力をつけていきましょう。
地理B
〇問題傾向
大問は6題から5題に、マーク数は35から32とそれぞれ減少しました。しかし、単純な文の正誤判定問題に代わり、統計表、グラフ、地形図など、図表の読み取り問題が増加したため、解答に時間がかかり、センター試験よりも難しくなりました。
ポイントとなる問題は第1問の「世界の自然環境」です。自然地理を苦手とする受験生の多くが、自然現象の原理・原則を理解していない場合が多いと思われます。「気候要素」は気候を構成する気温や降水量、風などのことであり、「気候因子」は気候要素を変化させる地理的要因です。また自然地理が理解できていないと、人文地理分野の理解も進まないことから、自然地理学習は大変重要な分野であると言えるでしょう。問 5 は写真から情報を読み取ることが要求される問題ですが、写真は不要な情報も写り込んでいるので、本問は「生徒たちの発言」から判断しましょう。問 6 は図から判断することができるため、問われている内容について、丁寧に資料から読み解くことが大切です。
〇対策
内容を暗記するのではなく、「なぜそうなるのか」を十分に理解し、それらを応用できるように「基本的な知識を積み上げていく」ことを念頭に置いて勉強しましょう。また、地図や図表、写真などの資料を使った出題の割合が高いので、これらを読み取り、利用する技能が求められています。自分の知らない地名が出てきた際には、地図帳を開き、位置を確認する習慣を身につけましょう。統計についても、統計の背後にある地理的要因を読み取る意識で、最新の統計をこまめにチェックするようにしましょう。
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